Ian Murdock’s Weblog » The thin(ish) client revolution
上のブログを読んで触発されたので、一言。
Googleが提供するWebアプリケーションの魅力から、あらゆるデータがローカルからネットワークへ移行する、Web2.0の時代が来ると巷では騒がれています。 でも、どんな時代がくるか予測するのはさほど難しいことではないと思います。
今のインターネットブラウザの問題であり、なおかつユーザーやWebアプリケーション開発者の双方にとって不便なのは、現代のブラウザがページの移動時にstateless(ページのデータなど、状態を保持しない)という点。AJAXという技術で、ブラウザがキャッシュしているデータを部分的に変更しながら、状態を保持できるようになったこと。でも、これはアイデア的にも思想的にも新しい技術ではありません。現に、Flashは、当初からこのような通信の仕方を想定して作られています。 AJAXを技術屋さんの目から見ると、よくぞ使い難いJavaScriptで、HTTPのstatelessという欠点をカバーしてくれた!という程度の気分のもので、革新的なものではありません。
大学にWebサービス(事務処理関係)を納入している質の低いシステム開発会社だと、こういう技術すらも使えていなかったりするので、困り者なのですが。。。(高いお金を払って出来の悪いシステムを発注する大学にも、見る目のある人がいない。この手のシステムの開発には若いWeb世代の人を監視役に入れないとだめだよ。)
GoogleなどのWeb企業が開発を支援するFirefoxと、MicrosoftのIEの新versionの開発が進められていますが、両者の当面の目標は、程度の差はあれ、ブラウザが仮想マシン(OS)として動くようになることでしょう。Web上で閲覧したメールなどの情報をローカルにおいておくことができるようになるだけで、Web2.0における「ネットワークが断絶されると何もできない」という最大の困難は解決されてしまいます。
ポイントはリモート(サーバー側)とクライアント(ブラウザ側)でのデータの同期のとり方。そして、暗号化を行う手法。技術的にはどちらも既存のもの。でも、それらのつながりとしてのDBMS(DataBase Management System)がまだできていないのです。
Web2.0でMicrosoftがGoogleに敗北して停滞するなんてとんでもない。ブラウザがデータベース機能を持ち、デスクトップアプリケーション並のGUIを作成できるようになったとき、データの通信部分のみがHTTP(Web)という事実だけが残って、Webアプリケーション開発と言っても、再び、自前のDBとともに、Officeなど強固な製品を持つMicrosoftの土壌に戻ることでしょう。
Officeの信頼性や使いやすさを保ったままWeb経由でWikiを編集できると考えるだけでも、大きな進歩です。そして、それを実行するだけの力をMicrosoftは既に持っています。
リンク先のIan Murdockの記事にあるように、誰が、open sourceのLinuxをfat client(高機能ブラウザ)の世界に導くことができるか、というのも争点。
けれど、DBとブラウザをつなぐのが一番技術的に、かつ概念的に難しいところだと僕は考えます。Relational Databaseでそれが実現できるなら、当に実践されているはずです。でも、その気配が見られないところから推察できるように、ITの世の中はそんなに単純ではないようです。
自身の作るDBMSや周辺のアイデアがDBとブラウザの結びつきを促進するきっかけになればと思って、日々研究しています。もう一息。
0 件のコメント:
コメントを投稿