4月から大学の先生になりました。バイオインフォマティクス分野です。
妻と子供が春休みで実家に帰っている間、新しい環境に早く慣れるために、3月のうちから、通勤経路を模索したり、周辺のお店を探索したり、研究室のメンバーといろいろ話をしていました。
電車を乗り継ぎして、自転車での移動も入ったりと、片道1時間ほど。それでも、電車は下り方面でラッシュとは無縁なので、20~30分は、座って本を読むなど、ゆったりした時間が楽しめます。ちょっとしたプログラムを書くにもいい時間なので、今のところさほど苦ではないです。
雨の日など、自転車が使えないと、バスの本数が少ないので、梅雨の時期が今から心配です。
4月に入って1週間経ちました。感想は、ラボの学生さんがとてもよく頑張って働いている。ただ、心配なのは、研究に全力を注ぎすぎてないかなぁと。午前10時に来て、夜9時くらいまで作業しています。もちろん、逆よりはいいんです。「ラボに来ない、研究も進んでいない」だと困りますから。けれども、共同研究者とのメールのやりとりとか、データ処理に追われている印象が強い。
僕自身、Computer Science出身なので、新しいことを考えて、それを実現するためにコードを書くという立場なので、これこれを作業しなくてはいけないということは少ないのですが、Bioinformaticsでは新しいことを考える前に、まず処理しなくてはいけないデータがある、という違いがあるみたいです。すると、データの加工、表示のためのコーディングに1日の大半が費やされている様子で、気の毒になってきます。
けれど、データを作り出すことに重きを置かないcomputer系と違って、生物分野では、重要な情報というのは、地道な作業の末に生み出されるものなので、そういう研究スタイルでないと、Bioinformaticsという分野では成果を残せないのかもしれません。だから一概に、気の毒というわけではないのかもしれません。世の中へのインパクトでは、生物系の論文の方が大きいですから。
でも、10時~21時の研究時間だと、遊びにいくとか、買い物をするにしても、外部との接点がなくなってしまいますよね。せめて、8時~19時にずらすとか、時間を、8時~17時の8時間(もっと少なくてもいいかも)の研究時間に抑えて、残りは遊びや勉強など自分への投資時間にするなど、メリハリをつけてみるようにしたらいいのかもしれません。
何が怖いかというと、学生の間の時間のほとんどを研究に費やしていること。
「研究をする」という行動は、「成果(論文がacceptされる、学位を取る)」に結びついていますが、長時間くたくたになるまで研究して、目の前の作業に埋没してしまうと、成果につながるまでの道のりが見えにくくなってきます。そうすると、「研究をする」という行動自体への意欲が減衰してしまい、ますます成果から遠ざかってしまう悪循環に陥ってしまうから。
常に、研究に新鮮な気持ちで望めるように、いったん体と心を休めるための、遊びや趣味に興じる時間があるとよいのかと思います。だらだらしないで、定時に帰宅し、オフにはたくさん遊ぶけれど、皆やるべきことは、ちゃんとやっている印象が作れるとよいですよね。
これは努力?集中力?それとも、仕事の管理の問題? まだはっきりとした答えを見つけてはいないけれど、理想の働き方を実践するなかで、パフォーマンスを発揮できるいい方法を見つけ出したいと思います。
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