2006年8月16日水曜日

NHK-FM: 青春アドベンチャー

NHK-FMで平日に毎晩放送されているラジオドラマです。10年以上前に良く聞いていたのですが…まだ続いていたとは驚きです。

1つの小説を題材に10話ずつ。夜寝る前に、布団に入りながら聞くのですが、とても幸せな時間でした。このラジオドラマをきっかけにして原作を読んで好きになった作家さんなどもいます。マイクル・クライトンの原著なんかも、ここで聞いて、挑戦したような記憶があります。調べてみたら、1993年! 中学生くらいですね。そのときに英語なんてちゃんと読めたのだろうか…不思議。でも、ロストワールド(1995)は映画化前に新刊で読んでいました。続編だ!と思って喜んで買った覚えがあります。うまく理解できないところは、本屋さんに出かけて翻訳本を眺めてみたり…。


どうやら青春アドベンチャーは1993年頃によく聞いていたようです。マイクル・クライトンの「ジュラシックパーク」なんて、確か日本で映画が公開される前に放送していたし、「五番目のサリー」、赤川次郎の「ふたり」も面白かったような。

今日、この日記を書いているのは谷山浩子さんの「悲しみの時計少女」を思い出したから。映画 The Sixth Senseを見たら、この話を思い出したのです。驚くべきことに話に仕掛けられているトリックが同じなんです。Sixth Senseの構成も当時(2000年頃)としては目新しく衝撃的だったようなのですが、日本にはそれよりもっと前にあったのですよ!思わずニヤリとしてしまいます。

でも、15分という短い幸福の時間は10話分しか続きません。ですので、ラジオドラマは終わってしまうと寂しさがかなり残ります。次の話の初回があまり好きではないと、がっかりして、それ以降は飛ばしてしまったり…。

村山由佳さんの「天使の卵」もラジオドラマ化してたんですね。聞き逃したので残念。「ウォッチャーズ」「あの夜が知っている」「アナスタシア・シンドローム」とかは、スリラーでハラハラしながら聞いていました。そのあとで、「くたばれ!ビジネスボーグ」とか、「笑う20世紀」みたいなコメディも悪くなかった気がします。

当時インターネットが普及していたら、聞き逃すなんてこともなかったのかな。 でも、Podcastのように手軽なものでなく、ラジオに集中して決まった時間に聞くという、あのわくわくする雰囲気は忘れられません。しかも、当時、自宅には、古くて大きいのだけれど、立派なラジオがありました。当時はやりのラジカセのような無機質なものでなかったことも、楽しめた原因かな。


でも、それ以来、大学に入ってから、小説をゆっくり読むことが本当に少なくなりました。もったいないなぁと思います。教科書とかコンピューターの技術本のひどい翻訳ものを多く読むようなった時期です。洋書にしても、当時は小説以外のもは購入しにくかったですね。価格が高めだし、店頭にならんでいることもない。理・工学系のものばかり読んでいるうちに、文学的な美しさに触れる機会からはどんどん遠ざかっていきました。

それでも、僕が小説に触れる出発点だった青春アドベンチャーは続いている。 文学の中で生きている人がこんなにもたくさんいることに驚きを感じます。今は論文を書いている最中なので、技術的なものにしろ、文章を「職人的に書く」ことが、どんなに大変なことかを実感している時期です。素人だけれど、いっぱしの作家並にスランプはあるし。文学に生きている人たちをみると、いい物に触れ、書く経験を積むことをしてこなかった自分が少し悲しくなってきます。マイクルクライトンもいい作家にはなるには「たくさん書くこと」とコメントしています。

コンピューター屋さんでも、書くことはとても大事なのです。自分の作ったコードを多くの人に使ってもらうためには、やはり文章を書かないといけません。それも、面白く読めるように。 研究者としても、書くことは必要な能力。書くことで、理論が整理できて美しいコーディングにつながったり、大きくアイデアが変わることを実感したりします。 論文は本来、業績とか自分のためではなく、人のために書くべきものなのだけれど、書いて残すということは、研究の理解者を増やすという意味で、実は自分を助けることにもつながります。


まとめると、僕にとっての収穫は、
「物語は至福の時間を与えてくれる」ことを思い出せたこと。
「書き続けること」以外に上達の道はない、ということ。

最後は「継続は力なり」と同じですね。音楽などでもそう。僕の持論は「いいもの(あるいは成果)はオフラインで生まれる」。インターネットばかり眺めていても、もの知りにはなれるけれど、望むようには成長できないという感覚。

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