2006年8月7日月曜日

NHK知るを楽しむより: 失敗学

NHK知るを楽しむ NHK教育テレビ 月~木曜日 午後10:25~10:50を見ました。

六本木ヒルズの回転ドアで子供が挟まれて死ぬという事件以来、回転ドアは危険なものという認識を持っていたのですが、そもそもヨーロッパなどでは回転ドアは軽く作られていて、挟まれたとしても大事故に至らないという 「本質安全」性が満たされているそうです。

回転ドアは軽く作らないと危ない、という職人さんが持つ知識はあったようです。ただ、日本に輸入され、見た目をよくするために回転ドアに装飾を加えていくうちに、ドアは3倍以上の重量になっていたそうです。重くなるほど完全静止までの距離も長くなってしまうのを、センサーを増やすことで、安全性を確保しようという「制御安全」の方針がとられました。

結果として、センサーが探知できない部分があったり、人が挟まるのを探知してからドアが静止するまでの距離が設計者の想定以上のものとなり、事故につながりました。

この「失敗」を教訓に、「本質安全」を持った上で、多重に「制御安全」のセンサーを使った回転ドアが開発されているようです。「失敗学」というのも、失敗の経験をいかに活用するか、また、失敗を活かすためにはどのように失敗の知識を蓄積しなければならないかを追求する学問だとか。


試行錯誤という言葉があるように、日常の中でも膨大な数の失敗をしています。その失敗は経験として個人には蓄積されていきますが、それを他と共有すること、情報学の立場ならデータとして表現し人に伝えるという作業は、仕事の効率化や質を高めるという意味で、どの分野においても役に立つでしょう。 とりあえず失敗をとりかかりとしているけれども、この応用分野はもっと広いものだと思います。

野球選手なら、バッティングのときの体の感覚がそう。イチローがテレビで言っていたけれど、自分が良いと思うバッティングの感覚があるけれど、言葉にするのが難しいので、ここを守っていれば大丈夫、というポイントを探す努力をしているそうです。それでも、気づかないうちに理想とずれていくことがあるとか。失敗と正確に分類できない情報もありそうです。

データベース屋さんにとっては、これは永遠のテーマですね。人の知識をデータにする。その収集方法から情報のプレゼンテーションを自動化する方法まで、興味は尽きません。

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