2006年3月2日木曜日

メッツの松井はレギュラーになれるか

2塁手でGolden Glove賞を4回獲得したBret Booneが引退を決意しました。
これで松井の活躍を願う日本人として、ほっと一息つけます。

New York Metsの2塁手候補は、Kaz 松井と、Anderson Hernandezの二人に絞られました。ヘルナンデスの方は、マイナーで好成績を残したとあって、若手有望株として、松井と正2塁手の座を争うことになるでしょう。この状況は互いに刺激があっていい方向に行くのではと思います。

良くなかったのは、Booneが引退を決める前までの状態。場所は違えど、Major, Minor、日本で実績を残している選手ばかりです。だれをレギュラーにしてもおかしくなく、人材をもてあましている状態でした。今シーズンに復活をかける松井やBooneにとって、打数を確保できないというのは、実力を証明しにくく、非常に嫌な状況だったでしょう。1週間単位で見れば、イチローですら打率1割以下になることがあるからです。少し打てないとすぐに交代させられ、ペースをつかめず、成績が出ない。悪循環です。巨人の清原もその例かと。

Dodgersに入団した中村紀洋(現オリックス)も最初が不調だったばかりに、マイナーに落とされ、そこで成績を出しているにも関わらず、全くメジャーに上げてもらえませんでした。本人がこれを「罰ゲーム」と表現する気持ちもわかります。2005年、彼以外の3塁手3人は揃いもそろってコンスタントに活躍できなかったのですから。マイナーとは言え中村の成績の方がインパクトがありました。Dodgersの監督Grady Littleの起用法が悪すぎ。自分の想定に入っていない選手は使えないのです。勝率5割を切って当然。

あと、メッツの松井の印象を悪くしている要因として、守備のエラーが多いことがよく言われますが、彼のrange factor(9イニング当たりの刺殺数と捕殺数の和)はメジャートップクラスなのです。つまり、それだけボールがよく飛んできて、きちんとさばいているということ。グラウンドのコンディショニングが「最低」とまで言われるようなシェイスタジアムでは、良くやっている方だと思われます。負け試合に痛恨のエラーをしてしまう彼の運が悪いとしか言いようがありません…。

参考記事

信用を勝ち取らないと試合に出させてもらえません。けれど、監督の選手へのシーズン当初の信用度とシーズン終了後の成績のデータを取ってみたとすると、きっとそこには相関関係が表れないと思います。昨シーズン後半のYankeesの先発陣は、シーズン当初にはベンチにすらいなかった人が占めていたのです。けれど、結果として彼らのおかげで地区優勝を果たしました。

彼らが起用されたのは、レギュラー陣が怪我でドロップアウトしたという台所事情も大きかったのですが…。やっぱり運が大事。あまり実力でつかみ取るもの、と考えない方が幸せかも。 「実力で、競争で」と建前上言われるけれど、シーズンを通して見ていると、そうでないことが多いのです。

clutch hitterは決定的な場面で打ってくれる頼りになる打者のこと。昨年のDavid Ortizはまさにそうでした。けれど、結局MVPを取ったのは、得点圏打率3割以下のA-Rod。2位に甘んじたOrtizは.348。HRは1本差、打点はOrtizの方が18点も上回っているにもかかわらず。

信用がない状態でレギュラーを勝ち取るには、clutch hitを打つしかないと思うのですが、その指標となる得点圏打率もあまりきちんとは評価されないんですよね。なんともはや。

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