by Bjørn Lomborg
読んでなるほど、と思った。京都議定書はCO2、CH4などの「早期削減」を目指したもの。けれど、とある気候モデルを使うと、仮にこの議定書の試みがうまくいき、2050年に先進国が、50%のCO2の削減に成功したとしても、2100年から温暖化を6年先延ばしにするだけ、という計算になるようだ。
経済モデルでは、CO2早期削減のための投資に年1500億ドルを使う試算になるが、その半額で、世界中の人々の飲用水、下水設備、健康管理、教育が確保できるという。他にも、温暖化問題より、HIV/AIDS, 飢餓、自由貿易(取引)、マラリアのほうが、早期対策が功を奏すので、優先度が高いというのだ。 Bjørn Lomborgは、温暖化よりも優先度の高い問題が山積みなのに、機を逸してしまうとさらに被害が拡大し、対策費用が増大してしまうという視点を提供している。
Montrealの会議でも、京都議定書と同様、早期削減に向けて議論が進められているが、CO2の早期削減のための費用は高く付き、アメリカが「条件付き」でしか参加する意思を示していないように、順守できない国が増えるに従い、次期京都議定書のプランが頓挫する可能性が高い。もちろん削減努力も必要だが、本当に長い視点を持つなら、CO2を排出しないエネルギー開発のためのR&D(Research and Development)に投資をするよう(例えば、各国がGDPの0.1%ずつ出資すると)定めるほうが、将来のためになるというのである。
ちなみに、2004年度の日本のGDPは4兆6234億ドルなので、その0.1%は、4.6億ドル(円換算はこちら)。特別会計の規模(200兆?)から考えると、なんてことのない金額ですね。
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